元力士・大至さんは見た 曙の一升瓶“片手5秒”の豪快飲み
3年前に85歳で亡くなる前、風呂に入れてあげたりしました。昭和初期の生まれの割には身長175センチと大柄でしたけど、付け人時代、関取の風呂入れをしていたので、父の体をキレイに洗ってあげられた。洗い終わった後「ああ、こんなにサッパリしたことないわ!」とうれしそうでした。相撲取りになってよかったと思いました。
息子を力士にするのは父の夢だったんです。子供の頃、両親の喜ぶ顔見たさに頑張って稽古しましたが、僕は音楽が大好きで歌手になるのが夢でした。現役引退後、父は歌手になるのを大反対したけど、相撲取りになれたし、十両にもなれて親孝行はできたかなと思っています。
(構成・中野裕子)
▽大至伸行(だいし・のぶゆき) 本名・高野伸行。1968年、茨城県日立市出身。現役時代は押尾川部屋に所属、最高位は東前頭3枚目。相撲甚句からライブ、ミュージカルまでこなすマルチ歌手として活動中。