黒田アーサーさん 「オズの魔法使い」の戦友と撮った一枚

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  真夏のさなか、厚い衣装を着て舞台を駆け回り引っ込むと、裏を回って会場から現れたり、休む間がないストーリー。舞台の袖には酸素吸入器が置かれ、派手なダンスや殺陣のあとは息ができないから、引っ込むとそれを吸ってまた出る。

 コマ劇場では「フライング」といって榊原郁恵さんが「ピーター・パン」の舞台でやってらした宙を飛ぶ装置がおなじみで、出ずっぱりの優ちゃんは途中で宙吊りにもなるから、とにかく大変だったと思います。ボクはストーリーの最初の方から出て、哲平くんは4人の中では最後に出てくるけど、ライオンの衣装は厚くて重いから「お互いさまだね」と話してました(笑い)。

 代わりはいないから風邪もひけないしケガもできない、身も心も休まらない毎日。でも、ファンタジーな物語だし、子供たちが見ているので「舞台ではつねに笑顔でやろう」と4人で話してました。袖に戻ったら苦しい顔してたけど(笑い)。

 怖い場面では、「うわー!」ってビックリするし、おもしろいシーンでは大爆笑してくれて歌では手拍子。子供たちの笑顔で疲れは吹き飛んでしまいました。

 こんなに楽しい舞台はなかった。まさに会場と一体のミュージカル。大変な分、充実してました。

 公演中に1度、ぎっくり腰になりました。

 朝起きて歯を磨いてたらギクッときて「ウワッ、どうしよう!」と。すぐ整体の先生に電話して病院にどうにか行き、ハリを打ってもらい、コルセットを巻いて、その日の舞台を乗り切りました。

 その後は千秋楽までコルセットを巻き続けて。疲れが相当たまっていたんでしょうね。

 ぎっくり腰が舞台中だったらと思うとゾッとしました。そのくらい「オズの魔法使い」はハードでした。

 あの舞台が終わってからは「体力をつけなきゃいけない」とトレーニングを始めました。ぎっくり腰は癖になるけど、水泳がいいと聞いて、泳ぎ始めてからはいろんな舞台に出てもぎっくり腰にはなってません。

 共演の3人と久しぶりに会えば、あの舞台の話になります。

 優ちゃんと仕事場で会うと「ボクたち若かったね」「大変だったよねぇ、あの舞台は一生忘れない」と、2人ともバイリンガルだから英語とチャンポンで話しています。

 20年の時を経てあの舞台はさすがにもうできないです。あと3年で還暦だけど、あれに近い舞台ならまだまだやれる。オファーがきても大丈夫だと思います(笑い)。

  (聞き手=松野大介)

▽1961年2月、米サンフランシスコ生まれ。82年からタレント活動。多数のドラマや舞台に出演。池田聡との音楽ユニット「DADA」としてアルバム「小さな夢」をリリース。俳優業の傍らメガネブランド「Arthur K.」のプロデュースを手掛ける。

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