オカルト研究家・山口敏太郎氏「良質なエンタメを目指す」
――しかし「ノストラダムスの大予言」がオウムを生み出したように、マイナス面もある。
「かつてのようにオカルトを妄信するような考え方はよくない。それをあおってきたメディアにも責任があります。オウム事件に代表されますが、それは“危ないオカルト”です。あれから20年以上、僕が目指してきたのは、まっとうな大人も楽しめる良質なエンターテインメントとしての“健全なオカルト”です」
――健全なオカルト?
「『コンプライアンスに規定された以降のオカルト』と言うかね。UMAは生物学、妖怪は民俗学、幽霊は大脳生理学や心理学とか学術的な力も借りながら分析する。“不可解なもの”に対して仮説を立てて分析することが学問でしょう。まさに科学ですよ。大槻教授のように、結果が出てることだけを言うのが科学ではありません。徹底的に検証した上で、それでも分からないものは分からないものとしてファンタジーのまま提示する」
――“未知なるもの”に対して真摯でストイックな姿勢です。
「そう。妄信していい加減な説を唱える肯定派も、ハナから耳を傾けようとしない否定派もいらないんですよ。僕はオカルト界で、エンターテインメントの範囲での真剣勝負、ガチファイトがやりたいんです。オカルト界のUWFですよ(笑い)。それが大人も楽しめるってことだと思うんです」