「3万円は返さないことにした」立川談志は常にネタを意識

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 そもそも木久扇におバカキャラの与太郎役を振ったのは、初代司会者の立川談志だ。

 1966年に「笑点」が始まった際、談志は大喜利メンバーに、キャラクターを割り振った。

 先代円楽は「物知り」、桂歌丸は「批評家」、柳亭小痴楽は「都会人」、三遊亭小円遊は「乱暴者」、林家こん平は「田舎者」といったあんばいである。

 69年からレギュラーに加わった木久扇(当時は木久蔵)は与太郎役を任じられた。

「談志さんは当時から若手を引っ張ってくれてました。我々二つ目をいろんな所に連れていき、いろんな人に紹介してくれる。口は悪いけどあったかい人でしたね」

 木久扇が談志に気に入られたのは前座時代、気が利く若者だったからだ。ある時、寄席の高座を降りた談志が汗びっしょりで、「湯屋に行きてえ」と言ったので、自分用の洗面道具とせっけん箱、簡易カミソリ、手拭いを差し出した。談志は「気が利くねえ」と言って銭湯へ出かけたという。

「可愛がってもらって、僕が招くと必ず顔を出してくれました。三軒茶屋でラーメン屋を開いた時も開店祝いに来てくれて。『この店はラーメンよりギョーザがうまい』って、冷蔵庫のギョーザを売る分まで持って帰っちゃった」

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