6月歌舞伎“主役”市川染五郎の写真を載せなかった戦略ミス

公開日: 更新日:

 松本白鸚が、当たり前ではあるが、芝居のレベルの差を見せつける。

 市川猿之助片岡愛之助は、幸四郎への「お付き合い」で出ている感じ。これくらいの演技は朝飯前ですよという余裕の演技で、どこか真剣味がない。

 これまで知名度が低かった市川男女蔵が目立つ役をもらえ、好演。これをチャンスに飛躍してほしい。

 そして、市川染五郎。セリフは棒読みだが、独特の間とリズムがあって、胸に突き刺さる。物語のなかの10年の歳月で、彼が演じる少年は、青年へと成長するわけだが、その変化の過程が演じ分けられている。単なる美少年ではなく、天才美少年である。何も成長しない幸四郎の光太夫とは大違い。この芝居の真の主役は、染五郎だ。なのに、ポスターに彼の写真はない。松竹の戦略ミスだ。

 昼の部は、片岡仁左衛門の「封印切」に尽きる。実年齢を考えると驚異的な若さと愛嬌。この物語が「若さゆえの過ち」による、「若者の悲劇」だと伝わる。

 (作家・中川右介)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動