<7>事務所に使われるのが芸人 搾取されたとしてもいい商売
ゲンキンなものである。
「コマーシャルで顔が売れて、ギャラのいい仕事が増え始めると、事務所の社長が言うわけ。『これまでは歩合制だったけど、月給制のほうが生活が安定するんじゃないの』って。そう言われると、収入が少ない月があって苦労してきたから、そのほうがいいかなと月給制にしたの。とたんに忙しくなって、やたらと仕事に行かされる。労働時間は増えても月給は変わらない。ただ、それが芸能界で、プロダクションにいいようにされるのが芸人なんですよ」
決して恨まず、笑ってすませてしまうのがマギーのいいところだ。
「搾取されたとしても、芸人というのはいい商売だと思いますよ。地方に行くと、『遠いところを来てくださってありがとうございます』ってお礼を言われるんだもの。こっちはお金をもらう方なのにね。ありがたいことです」
マギーは売れっ子になっても感謝の気持ちを忘れない。 =つづく
(聞き手・吉川潮)
▽本名・野澤司郎。1946(昭和21)年3月17日生まれ。茨城県下館町(現・筑西市)出身。17歳で上京。20歳からプロのマジシャンとして活動開始。現在はマギー一門の領袖として多くの弟子を抱える。日本奇術協会相談役。