俳優も震え上がった“トップ屋”と呼ばれたフリー記者の存在
行動も神出鬼没。相棒と常に動くのが基本だが、どこでどんな人と会っているかも知らない。情報網も取材方法も明かすことはなかった。それでも月に1本はトップを飾る記事を持ってくる。誰も頭が上がらない存在だった。
彼を知る人物から聞いた話では、「独特のファッションは相手を威圧する効果を狙った演出」という。取材されたある俳優は「こんな記者がいることに驚いた。圧倒されっ放しで、誘導尋問みたいに話してしまっていた。今思えば術中にハマったようなもの」と語っていた。ある歌手は東京近郊のホテルから女性と一緒に出てくると、車の前でたばこを吸いながら彼が待っていたという。
「すべてお見通しって感じでした。最初に言った言葉も“きちんと話したほうが君のためだよ”でした。もう観念しました」
まるでドラマのワンシーンのようだが、実際、「トップ屋」は丹波哲郎主演でドラマ化されている。トップ屋と仕事をした編集者からは彼らの取材テクを聞いたことがある。
「彼は目の前でノートを広げてメモを取ることはしない。取材も相手がリラックスして打ち解けられるように食事やお酒の席で雑談風。取材された側は、どこまで本当の取材でどこからが雑談かわからない。衝撃告白の大半は雑談から発せられていることが少なくない」