右翼の抗議で上映断念…配給元や上映館「決して屈しない」
韓国人のキム・ミレ監督によるドキュメンタリー映画「狼をさがして」の上映に対して右翼団体の抗議行動が相次ぎ、先週末には上映を断念した映画館も出た。これを受け5月10日、配給元である太秦株式会社の小林三四郎代表取締役らが都内で記者会見を開いた。
映画のテーマは「東アジア反日武装戦線”狼”」。1974年8月30日、東京丸の内の三菱重工業本社ビルで時限爆弾が爆発。8名の死者と約380名の負傷者を出した。犯行声明を出した組織は「東アジア反日武装戦線”狼”」と名乗る。その後、別働隊の「大地の牙」や「さそり」も現れ、連続企業爆破事件が続いて日本社会は震撼した。次々に逮捕された実行犯は当時20代半ばの若者たちだった。ミレ監督は関係者らを取材し、日本の近代史を浮彫りにしていく。映画はこれまでに3300人以上を動員しているという。
3月27日から映画の公開が始まったが、4月24日に神奈川県の横浜シネマリンで公開されると右翼団体が同館に街宣活動を開始。29日と5月8日にも抗議が行われたが、5月8日には右翼団体関係者2人が劇場の中にまで押しかけ半日間、抗議を続けたという。