「青天を衝け」平岡円四郎ロス 堤真一“退場”にがっかり
第17回では、幕臣の川路聖謨(平田満)から亭主の横死を聞かされた女房やすは、「ばかも休み休み言いなよ。うちの人が死ぬわけないだろ」と、悲しさのあまり怒り出す。渋沢のところにも知らせは届き、「嘘だい。嘘だ。平岡さまが死ぬわけがない」と慟哭し、京へと急いだ。一橋家の京都屋敷には、「円四郎は私の身代わりになったのだ」と悔しがる慶喜がいた。平岡の粋な男っぷりをもっと見たかった、という時代劇ファンは多いだろう。
実際の平岡は勘定奉行の下役の四男で、江戸・下谷練塀小路生まれ。いまの住所でいうと千代田区神田練塀町で、神田明神前の坂を下って秋葉原駅の北側あたりである。堤がべらんめえ調で演じているのは、「神田の生まれのちゃきちゃきの江戸っ子」だからだ。
「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一は、戦国武将のように歴史上のよく知られた人物というわけではないので、平岡のようなキャラの立つ人物をかませて見せどころをつくらなければならない。これからどうするか。
「明治・大正編では、大隈重信がその役でしょうね。明治維新後は慶喜に付き従って、静岡でくすぶっていた渋沢を大蔵省に引っ張り上げたり、度胸が据わっていて明るい性格というのも、平岡とよく似ています。会った途端に、渋沢が恐れ入ってしまうのも同じ。妻の綾子が負けず嫌いで、重信は頭が上がらなかったというのも、平岡とやすにそっくりです」(前出の放送作家)
そんな大隈を大倉孝二が演じるようで、大隈は当時では珍しい身長180センチの大男。大倉孝二は187センチというから、イメージとしてはピッタリか。芸歴25年の「主役級の名バイプレーヤー」が渋沢をどうイジるか、楽しみだ。
(コラムニスト・海原かみな)