キャラ変幻自在・高橋克典の役の幅を広げる「笑ってもらおう」精神
「色気」と「強さ」に説得力を持たせるため、ジムトレーニングとボクシングとピラティスを繰り返し、食事制限をしながらストイックに体をつくっていった。視聴者の「金曜の夜のキャバクラ代を浮かす」というテーマを持ち、「一番大切にしていたのは、バカをやって笑ってもらおうという気持ち」(同前)だったという。
その結果、高橋といえば「只野仁」の風貌を思い出すほどイメージが定着した。前出の「イケメンタル」でも、只野風に黒ずくめの衣装にティアドロップのサングラスをかけ、“くまだまさし方式”でグラサンをズラすなど、イメージを逆手に取った手法で笑わせていた。
一方で「しばらくの間は何を演じていても只野仁に見えてしまい、ヒューマンドラマの話が来なく」なってしまった(同前)と嘆いていたが、その後も「金太郎」でもなく「只野」でもない、「すべての角が取れた河原の石ころみたいな高橋克典がいた」(NHKアーカイブス「NHK人×物×録」)との感想を寄せられたという17年の「ツバキ文具店~鎌倉代書屋物語~」(NHK)をはじめ、順調に役柄の幅を広げ続けている。
それはその端正な顔立ちにあぐらをかかず、「イケメンタル」挑戦に象徴されるように「バカをやって笑ってもらおう」という“何でもアリ”な精神があるからこそなし得たものだろう。