<84>寝込みを襲った真夜中の家宅捜索…腕にはくっきりと指の跡が残った
「警察です。家宅捜索をするからここから出ていって」
「……」
「早く出ていきなって!」
乱暴な口調が私の神経に触った。
「捜索令状を見せてくれよ」
「おまえに見せる必要はないから」
「はあ?」
おまえ呼ばわりにカチンときた。
「奥さんに見せているから。さぁ、ここから出ていって」
そうか早貴被告は警察署から帰ってきたのか。寝ぼけた頭がやっと回ってきた。体を起こしてベッドからゆっくり降りようとしたが、男は私の体を引っ張り上げようとする。
「おいおい、触るなよ」
「早く出ていけと言っているだろ!」
「真夜中に出ていけって尋常じゃないだろ」
時計は12時を過ぎていた。
「つべこべ言わずに、さあ。酒を飲んでいるのか?」