<84>寝込みを襲った真夜中の家宅捜索…腕にはくっきりと指の跡が残った
上腕部にはくっきりと指の痕が残り、内出血をしているのを見せた。
「私は見ていないから」
スーツを着た年配の警官と名刺交換をしたが、警部だった。彼は他人事のようなしゃべり方をする。
「現行犯で逮捕できる案件ですよ」
「では、訴えて下さい。だけど誰がやったのかの特定は難しいと思いますけれど」
こいつら、なめているのか。私は怒りで体が震えるほどだった。果たして真夜中に家宅捜索をする案件なのか? 明るくなってからでもいいと思うのだが、私には捜査員たちの残業代稼ぎとしか思えなかった。
午前5時、東の空が明るくなってからやっと家宅捜索は終了し、20人ほどの捜査員がぞろぞろと家から出てくるところに私はカメラを向けていた。私に暴行を働いた警官を特定するためだった。
再びリビングに戻ってベッドに倒れ込むと同時に、睡魔によってノックアウトされた。 =つづく