著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<84>寝込みを襲った真夜中の家宅捜索…腕にはくっきりと指の跡が残った

公開日: 更新日:

 上腕部にはくっきりと指の痕が残り、内出血をしているのを見せた。

「私は見ていないから」

 スーツを着た年配の警官と名刺交換をしたが、警部だった。彼は他人事のようなしゃべり方をする。

「現行犯で逮捕できる案件ですよ」

「では、訴えて下さい。だけど誰がやったのかの特定は難しいと思いますけれど」

 こいつら、なめているのか。私は怒りで体が震えるほどだった。果たして真夜中に家宅捜索をする案件なのか? 明るくなってからでもいいと思うのだが、私には捜査員たちの残業代稼ぎとしか思えなかった。

 午前5時、東の空が明るくなってからやっと家宅捜索は終了し、20人ほどの捜査員がぞろぞろと家から出てくるところに私はカメラを向けていた。私に暴行を働いた警官を特定するためだった。

 再びリビングに戻ってベッドに倒れ込むと同時に、睡魔によってノックアウトされた。 =つづく

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