「ガッテン!」も“前田リストラ”なのか…NHKの目玉番組が次々と消えるウラ事情
先週2日に放送されたNHK「ガッテン!」の最終回を、司会の立川志の輔は噺家らしくさらりとやった。落語のサゲのようにはいかなかったが、粋だった。ああいう時に、未練がましくあれこれしゃべるのはヤボというものである。
この番組の常識をひっくり返す生活・健康情報は、巧みな実験で楽しませながら、いちいち納得できた。小野文恵アナの軽妙な解説もあり、まさに優良番組で、世帯視聴率も軽く10%をクリア。なぜ終わらせてしまったのか。志の輔も、視聴者も、合点していないだろう。
たしかに、ネタ探しに苦労し、制作費もかかり、その割には「腰が痛い」「目がかすむ」では若者に見られていないだろうなと想像できた。それが“前田リストラ”に引っかかったのだという。
「前田晃伸会長は『NHKを生まれ変わらせる』『どんな長寿番組だって見直さなきゃおかしいだろ』と、長年担当してきたベテランのプロデューサーやディレクターを異動させ、番組を終わりにしてしまう。『ガッテン!』は真っ先にやり玉に挙がったというわけです。去年の紅白歌合戦が大きく変わったのも、会長特命の新しいNHKへの改革なんです」(NHK関係者)
エリート中のエリート銀行マンだった前田会長
NHKの官僚体質、タテ割り組織、政府・自民党への忖度が改革されるのなら結構なことだが、困ったことに、前田氏はNHK会長になるまでほとんどテレビを見たことがないらしい。東京大学からみずほ銀行になる前の富士銀行に入行し、本店勤務が長かったエリート中のエリート銀行マンだった。だれよりも早く出勤し、帰宅は連日深夜。ゴルフはやらず、休日は庭いじり、愛読書は科学雑誌「ニュートン」、読売ジャイアンツと三橋美智也のファンなのだそうだ。
「家で夕食を食べながらテレビを見ているような銀行マンは、出世しません。休日もせいぜい定時ニュースと大河ドラマくらいです。おそらく、前田会長は『ガッテン!』もNHK会長になってから初めて見たはず。健康はともかく、家事や食にはほとんど関心がないようですから、面白いとは思わなかったのでしょうね」(経営評論家)
前田会長のNHK改革は、スマホで見られるNHKプラスに若者を誘導して、将来は配信からも受信料を徴収して経営の柱にしようというものだ。
そのためには、団塊世代に支えられているような番組は、早晩終わらせなければならない。
「バラエティー生活笑百科」「プロフェッショナル 仕事の流儀」も3月でレギュラー放送終了が決まっている。「ブラタモリ」「鶴瓶の家族に乾杯」「所さん!大変ですよ」なども危ない。いずれも司会者のギャラが高額で、制作に手間も暇もかかり、若者は見ない。元銀行マンには、費用対効果の悪い“仕事”としか見えていないだろう。
テレビ知らずの会長はそろばん勘定は得意でも、番組はつまらなくなる。 (コラムニスト・海原かみな)