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桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

「さんまのまんま」で考えたコンプライアンス…“裸の王様”に気付かないテレビの愚かさ

公開日: 更新日:

「ちょっとだけよ」はダメで「ウンコチンチン」はOK

 加トちゃんいわく「ギャグ一つなくなるんだよね。それ困るよね……あと酔っぱらって、電信柱にこうやってションベンすんの、これも『やめてください』。俺のやってるギャグは全部ダメ」。「ウンコチンチンもダメでしょ?」と言えば、またスタッフの方を見ながら「ウンコチンチンは大丈夫か」と確認して「大丈夫だと思いますよ」と。

「本当に? ウンコとチンチン大丈夫?」と喜ぶ加トちゃんに、「ウンコとチンチン置きにいっちゃダメ。ウンコチンチンっていう響きが大丈夫なんです」とさんま。

 このやりとりに怒りを覚え、さんまですら右往左往する姿にがくぜんとした。

 コンプラ順守は当然の流れとしても、そのボーダーラインが曖昧で視聴者から文句が出ないように自主規制がどんどん強まっている気がする。みんな責任をとりたくないのがミエミエ、なんとも日本的な感じだ。

 くだんのドラマの中で印象的なシーンがあった。当時40%以上の視聴率を誇る番組に対し、下品だなんだとクレームのハガキが毎週200通来るというスタッフに対し、「俺たちの番組楽しみにしてくれている4500万人とアンチの200人、どっちの声に耳傾ける?」といかりや長介(遠藤憲一)が志村けん山田裕貴)に聞き、「そんなん決まってるじゃないですか。笑いたがってる4500万人を笑わせましょうよ」と答え、長さんが「下品上等。俺たちはこれからも、下品で体張ったコント一本で行く。異論ないな?」と言い切ったのはカッコよかった。

 コンプラという鎧を着て安全なつもりかもしれないが、裸の王様であることに気付かない愚かさ。田原総一朗の目が黒いうちに「朝生」で「どうなるテレビのコンプライアンス」をやって欲しい。

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