元ちとせ語る「平和や人々の幸せを歌う自分でありたい」デビュー20周年、決意新たに
メッセージを伝えられる歌い手にならなくては
事務所に入って4年目、2002年に「ワダツミの木」でメジャーデビュー。約90万枚のセールスを記録。翌年、シンガーとしてのマインドが大きく変わった。
「広島のイベントで歌った後、観光気分で広島平和記念資料館を訪れました。ところが、そこにはすさまじい記録があった。原爆が投下された街の写真や展示物はあまりにも衝撃的で、戦争の悲惨な現実を知らずに育った自分が恥ずかしかった。メッセージを伝えられる歌い手にならなくてはいけないと思いました」
2005年、坂本龍一のプロデュースとピアノにより、原爆ドームの前で「死んだ女の子」を歌った。原爆投下で命を失った7歳の女の子を主人公にした反戦の歌である。
「あれからずっと、平和や人々の幸せを歌う自分でありたいと思い続けています。今回のアルバム『虹の麓』も、ストレートな反戦歌ではありませんが、平和への祈りや思いを込めています」
(取材・文=神舘和典)