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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

樹木希林が見守っているから吉永小百合の向上心が衰えることは決してない

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 吉永と希林は年に数回、食事を共にする関係になった。本来はおごってもらうのを嫌う希林だが、その時の支払いは決まって年下の吉永の方だった。しかし一度、希林にランチをおごってもらったことがあるという。そのとき希林は、「実は私の体、今こうなってる」と言って、がんにむしばまれたPETの画像を見せたのだ。

 これが希林との「最後のランチ」になってしまった。「ちょっと、あの日のことは忘れられない」(TBS系「A-Studio+」2021年5月14日)と、吉永はしみじみと振り返っている。

 吉永は「夢千代日記」以降、ボランティアで原爆詩の朗読会をするなど原爆被害の語り部としての活動を続けている。希林もそんな彼女の活動に刺激されてか、戦没画学生慰霊美術館「無言館」での成人式に来訪し、若者に自筆の手紙を手渡すといった活動をしていた。

「『無言館』よ、いつまでも」と題されたチャリティー朗読コンサートに出演した吉永。そこで「その辺で見てるかも知れないと思うので、私もしっかりやろうと思います」(「デイリースポーツ」18年9月22日)と語っていた吉永は、「欲はあるか」と尋ねられたときも「俳優としてもうちょっと成長したいというのはあります」(フジテレビ系「まつもtoなかい」23年8月13日)と答えた。

 日本でもっとも辛辣で率直な批評眼を持つ樹木希林に見守られている吉永。彼女の向上心が衰えることは決してない。

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