旧ジャニーズ性加害問題で問われる東山社長「解決への本気度」…国連は「救済措置が不十分」と指摘

公開日: 更新日:

「被害者たちが完全に救済されるまでスマイル社の責任と業務は終わらない」

 同社HPには、《被害補償の進捗状況について》として、こう続けている。

《被害補償の申告者数合計996名のうち、被害者救済委員会が補償額を通知した方の人数は合計499名になります。被害者救済委員会又は弊社の代理人弁護士からの連絡に対してご返信をいただけていないためにお手続を進めることができていない207名の方を除くと、被害補償の申告者996名のうち、いまだお手続中の方は145名となっております》

 補償額の算定基準もブラックボックスで、さらに交渉内容も口外しないよう通達し、不満を持つ被害者は少なくない。にもかかわらず、補償手続きが進んでいることで、この問題への取り組みは順調で、しかもすでに峠は越えたとの認識がスマイル社の言い分からは透ける。

「スマイル社は被害者補償に特化し、それが完了したときに廃業するとしていたのが、一般社団法人『マインドフル』を設立するなど別の方向に動き出しています。ジャニー氏の姪で、ジャニーズ事務所を引き継いだ藤島ジュリー景子氏は『社員』として名を連ねた。この『社員』とは株式会社の株主みたいなもので、今後もジュリー氏が牛耳っていく体制が続いていくということではないか」(某芸能プロ社長)

 藤島氏は昨年、経営への関与をやめ、すべての関連会社の代表の座からも降りるとしたが、先日までうち3社の会長職にとどまっていた。それが批判されて、近く退任すると発表したが、報道も批判もなければ、いまもその座に居座りたいのが本音ではないか。作家で「当事者の会」元代表の平本淳也氏は社団法人設立に関し、こう言った。

「『マインドフル』は解散するスマイル社の意思を継ぐ組織と言っていいでしょう。性犯罪被害者の支援環境の整備への取り組み、社会貢献への姿勢も、そのうたい文句通りであるのであれば、歓迎すべきものと思います。しかしながら、性暴力に加えて精神疾患や誹謗中傷にも苦しんでいる被害者たちが完全に救済されるまでスマイルアップの責任と業務は終わりません」

 現在も補償対応をめぐって、不満を募らせている被害者が少なくない。

《1人たりとも被害者を漏らすことなく、ケアしていきたいと思っております》

 そんな声明文を発表したジュリー氏は現在、どう思っているのだろうか。

 理事会の会合後のイベントで、被害者の一人、元ジャニーズJrの二本樹顕理氏はこう訴えた。

「多くの被害者が性的暴行や誹謗中傷で今も苦しんでいます。子どもたちは、未来の希望であり、子どもたちから性的搾取をするということは人権侵害なんだという意識が芽生えてほしい」

 多くの賛同と拍手が送られたのも当然だろう。東山社長の予定調和コメントへの反響とは対照的である。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    泉ピン子が終活をやめたワケ「渡る世間は(水原)一平ばかり!」スペシャルインタビュー

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在

  5. 5

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  1. 6

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  2. 7

    イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解

  3. 8

    坂本花織の世界選手権66年ぶり4連覇に立ちはだかる…国際スケート連盟の「反トランプ感情」

  4. 9

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  5. 10

    公表された重点施策で露呈…JR東海の株価低迷と時代遅れの収益構造