旧ジャニーズ性加害問題「470億円」巨額訴訟の行方…スマイル社の“逃げ切り戦術”は米国で通用するのか

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「日本国内のような頬かむりや言い逃れは通じない」

 それから1年半、被害の証明と証拠の問題を含め、提訴までに原告は準備に準備を重ね、弁護団も相当の覚悟で挑んでいるとし「性加害問題をめぐる歴史的にも非常に注目度が高いものとなるでしょう」と続けた。

 原告サイドの戦術で、2人は「問題の重大性を日本だけでなく世界に理解していただきたい」としている。それはジャニー喜多川氏の姪で後継者の藤島ジュリー景子氏、マスコミ統制で組織ぐるみの隠蔽を先導したとされる元副社長の白波瀬傑氏ら旧ジャニーズ幹部を個人としても相手取って訴えたことに出ているだろう。

「日本国内のような頬かむりや言い逃れは通じないし、ジュリー氏に白波瀬氏、スマイルアップ社長の東山紀之氏らをアメリカの法廷で証言台に立たせ顔をさらすことによる効果は大きい。さらにラスベガスの有名ホテル&カジノ『ミラージュ』を運営するMGMも相手取ったのは訴訟大国アメリカならではの戦術と言えるでしょう。スマイルやスタート社は断固争うとしても、MGMは風評被害を恐れ、また性加害問題への姿勢も見せるために、早期の解決、つまりは示談の構えを見せるのではないでしょうか」と冒頭の法曹関係者は見る。

 470億円もの賠償金も、総資産3000億円超、利益剰余金だけで2639億4600万円超とされる旧ジャニーズ側にとって大した金額でもないのかも知れない。ただ、原告の過去と将来の医療費を含む収益能力の損失など、原告の訴えにある「逸失利益」を結果的に認めることになれば、日本での補償でスマイル社が強弁している「公平性」は崩壊する。スマイル社が元「当事者の会」副代表の石丸志門氏に対し、1800万円を超える損害賠償責任がないことの確認を求めた口頭弁論がこのほどはじまった(写真)。スマイル側は被害申告を十分な説明もなく却下したり、算定基準も明らかにしないまま自分たちの都合で補償額を決め、それに異を唱える被害者たちには「公平性」を盾に黙らせようとしたりしてきた。石丸氏は改めてこうした旧ジャニ手法の強硬策に異を唱え逸失利益を含め18億円もの補償を求めてきたが、アメリカでの提訴を受けて「すでに補償をもらっている被害者の方も、改めて声をあげて欲しい」と呼びかけた。

「加害者側の言いなりで進められている補償について、これまで煮え湯を飲まされてきた被害者たちにとっては個人や現場となったホテル、企業を訴えるという反撃の手法が今回明らかになったという意味合いもあると思います。そんな被害者たちからはすでに『MeToo』の動きも出ています」と平本氏は言う。

 旧ジャニーズはもう逃げ切ったかのような顔でいるが、それらが世界の舞台でも通じるのかどうか。第2、第3とまた訴えが続く可能性が出てきているなか、誠実に向き合うつもりがあるのか見モノである。

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