堀潤さん原風景 編集マンが煙をくゆらせながらOKを出す姿
精神科医の名越康文さんが情報番組のMCとして活躍する堀潤さんが考えるメディア像を掘り下げます。意外な原風景から知られざる一面にも話は及んで……。
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名越 年金問題など、私たちの暮らしが大きな不安に包まれる中、今月には選挙が行われます。メディア人としてどのように伝えたいですか。
堀 政治を扱う際、僕はまず、自身の考えを示すようにしています。国内のテレビ番組では司会者を無色透明な存在として演出しがちですが、それは不誠実な気がして。
名越 確かに、司会者を中立に置き、論者を対立構造に当てはめるのは危険ですね。
堀 2つの選択肢から選ばせるのはプロパガンダの手法で、設問を設定した側の“勝利”となります。その仕掛けにメディアは加担してはいけない。だから司会者も含めてスタンスを明確にする必要があるし、その上で違う考えがあれば排除するのではなく、耳を傾けてみましょうと提言したいのです。
名越 互いが合意したら喜びが生まれる。話し合いは時間がかかっても、達成感を得られるものであれば、忍耐強く続くでしょう。