<46>「労働時間が短くて済む」東欧の娼婦たちに人気だった日本人男性
「はいはい、約束のウイスキーよ」
モニカはハンドバッグから数本のミニウイスキーの瓶を取り出して私のバッグに無造作に入れたのである。女性の労働時間短縮の貢献をしている日本人を褒めるべきなのか、複雑な思いを今でも引きずっている。
「社長、女性が来たようです。後はうまくやってくださいね」
私はドン・ファンをコーヒーショップに残して交際クラブの社長とロビーに向かうと、エレベーターホールに背が高い亜麻色の髪の白人女性が立っていた。憂いを帯びたスラブ系特有の顔つきだった。交際クラブの社長が、コーヒーショップにドン・ファンがいることを伝えると、はにかむようにほほ笑んだ。
「ジン・ドブレー」
こんにちは、と私がポーランド語をしゃべると彼女は目を丸くして嫌そうな顔つきになった。(つづく)