<46>「労働時間が短くて済む」東欧の娼婦たちに人気だった日本人男性
「あれは日本人?」
モニカがあごをしゃくるので何げなしに見ると、40代半ばほどで真面目そうな背広姿の男性がカウンターの端に腰掛けた。見たことがない顔だが、どうやら日本人のようだ。
「たぶん」
「ちょっと待っててね。引っかけてくるから」
獲物を見つけた猟犬は腰を振り振り男性の横に腰掛けた。5分ほどすると男性は会計を済まして出て行った。
「日本人だったわ。ちょっと待っててよ」
モニカが私の横で素早く声を掛けてきた。
「なに? 交渉成立?」
「当たり前じゃないの。部屋のミニバーからウイスキーを持ってきてあげるから、待っててよ」
「そんなに待てないから」
「すぐよ」
彼女はウインクをしてバーから出て行った。しばらくバーの従業員と話をしていると、モニカが勝ち誇ったような笑みを浮かべて戻ってきた。わずか30分も経っていない。