表面は汚染状態…マスクは正しく着用しないと逆効果の恐れ
インフルエンザが猛威を振るっている。予防のためにマスクをしている人は多いが、正しい使い方を知っている人はほとんどいないのではないか。ヘタすると逆効果になりかねない。
ある総合病院では、インフルエンザの季節に備え、医師や看護師、職員のほとんどが予防接種を受け、マスクもしっかり着用している。しかし、そうやって防備している医師や職員をはじめ、マスクをしている患者がバタバタとインフルエンザにかかり、感染症の疑いがある患者を診察する時以外はマスクをしない医師はピンピンしているという。
防備している医師や看護師がなぜ感染するのか? 「マスクを誤って使用していることが大きな原因と考えられます」と、東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授がこう続ける。
「医療用マスクを使用する目的は大きく2つあります。ひとつはインフルエンザウイルスなどの病原体の侵入を防御するため。もうひとつは、せき、くしゃみ、会話などで周囲に病原体をまき散らさないようにするためです。マスクは病原体を含む飛沫を捕獲するので、ほとんどの病原体はマスクを通過することができません。しかし、マスクの上では生き続けることができます。つまり、マスクの表面は大量のウイルスが吸着した汚染状態にあるといっていい。そうした認識がないままマスクの表面を触ってしまうと、かえってウイルスを拡散させたり、感染拡大のリスクを高めてしまうのです」