スーパーの豚レバー2~3%が感染 急増中「E型肝炎」の恐怖
「厄介なのは、豚やイノシシ、シカがHEVに感染していても全く症状が出ないことです。ある地域で重症のE型肝炎発症例が相次いだので調査を行うと、市販の豚レバーからHEVが検出されました。養豚場の豚は飼育中にほぼ100%がHEVに感染しますが、症状を出さないので養豚農家も気づかず、商品として流通してしまうのです」
その中には、健康に育っていることを証明する「SPF豚」も交ざっている可能性がある。
「北海道のスーパーで売られている豚生レバー363個を調べたところ、7個(約2%)からHEVが見つかりました。東京のスーパーでも無作為に豚生レバーを購入し、調べたところ、やはり2~3%にHEVが見つかりました」
■劇症肝炎を起こして死亡することも
HEVの潜伏期間は比較的長く、2~8週間、平均6週間だ。
「B型・C型肝炎ウイルスは、感染すると慢性化し、人から人へと感染させる場合がありますが、HEVは基本的に一過性で、人から人への感染もありません。しかし重症化すると、劇症肝炎で死に至ることもある。高齢者ほど発症しやすく、重症化しやすい。あえて直感的に数字をいえば、60歳以上なら50%が発症し、そのうち50%くらいは重症化すると思っていい。慢性の肝疾患がある人は、年齢が若くても発症・重症化のリスクが高い」