すでに米国で普及 「薬ゼロ・短時間で効果」のうつ病最新治療
「抗うつ薬を飲み続けているが良くならない」「うつ病と診断され、薬を処方されたが、飲んで大丈夫か」──。こうした思いに悩まされる人は少なくない。うつ病は日本人の15人に1人が死ぬまでに一度はかかる病気で、その多くが薬物治療を受けている。ところが、効果があるのは6~7割で、多くの弊害が報告されている。そんななか、薬を使わず、短期間で治療効果を実感できる最新治療法が話題だ。「新宿ストレスクリニック」(東京・西新宿)の川口佑院長に聞いた。
「私たちが行っているのは、最新のうつ病研究により開発されたTMS(経頭蓋磁気刺激治療)です。2008年にFDA(米国食品医薬品局=日本の厚生労働省にあたる)に認可され、米国では抗うつ薬が効かない人、飲ませられない人へのセカンドラインの治療法として、大病院で広く導入されている治療法です」
従来のうつ病治療の根拠は、「セロトニン仮説」にある。脳内の神経伝達物質であるセロトニンの量が減るか、働きが悪くなるからうつ病を発症するという考えだ。しかし、脳内のセロトニンを増やす薬でうつ病患者を治療しても、症状が改善しないどころか、若者の異常行動や自殺が目立っているのが現状だ。