持病がある人は要注意 「熱中症」を招きやすい病気と薬
しかも、糖尿病患者の4割は高血圧症を発症しているだけに熱中症リスクはさらに高くなる。
「話題の新薬『SGLT2阻害剤』はとくに気をつけましょう。血液中の余分な糖分を尿と一緒に排出させるこの薬は、尿量を増加させ、脱水症状を起こしやすいのです」(辛院長)
ちなみに熱中症対策として「スポーツドリンクがいい」と言われているが、糖尿病の人には当てはまらない。
「スポーツドリンク100グラムにつき、5~10グラムの糖質が含まれています。これをがぶ飲みすれば、今度は高血糖になり、糖尿病を進めることになりかねません。排尿作用の強いビールやカフェインが含まれているコーヒーは避けて、水やお茶にすべきです」(辛院長)
ほかにも注意すべき病気や薬は多い。薬剤師の青島周一氏が言う。
「風邪で熱があったり、下痢で脱水状態にある場合は熱中症には気をつけましょう。とくに『抗コリン作用』のある薬は、使う際は気をつけなければなりません。発汗作用を抑えるため、体内に熱がこもりやすい。風邪薬やせき止めのほか、鼻炎薬や胃腸薬、睡眠補助剤、酔い止め薬などに使われています。体温調節機能をつかさどる自律神経に影響する向精神薬や抗うつ剤にも注意が必要です」
これらの薬を混合して使っている人は、さらに熱中症発症のリスクが高くなる。健康を薬で支えている中年にとって熱中症は身近な怖い病気だということを知っておくべきだ。