持病がある人は要注意 「熱中症」を招きやすい病気と薬
これらを避けるため、高血圧や心臓の弱い人は塩分を控えるだけでなく、利尿剤を飲む。血液からさらに水分を抜いて血液量を減らすためだ。つまり、彼らは普段から“脱水状態”にあるのだ。
こんな人が炎天下の野外や蒸し暑い室内などにいれば、短時間で熱中症になるのは当然だ。腎臓が弱く、利尿剤を飲んでいる人も同じだ。
「利尿剤ではなく『βブロッカー』という薬を飲んでいる人も注意が必要です。この薬は脈拍を上昇させない働きがあり、脈拍が速いタイプの高血圧や心臓病、急に脈拍が速くなる不整脈の人を対象とした薬です。この薬を飲んでいると脈拍を上げて熱を下げることができず、熱中症になりやすいのです」(石原院長)
■糖尿病の人にスポーツドリンクは大敵?
しかし、なんといっても熱中症の危険性が高いのは糖尿病を患っている人だ。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・西蒲田)の辛浩基院長が言う。
「神経障害で暑さを感じにくくなっているうえ、自律神経が障害されて汗をかく機能に問題が生じているケースが少なくありません。ただでさえ、糖尿病の人は多飲多尿で、脱水症状になりやすい。温度調節がうまくいかず、暑さも感じにくければ、熱中症が進行するまで気付きません」