手治療の専門家 ばね指・腱鞘炎は仕事しながらでも治せる
ばね指や腱鞘炎に悩む人が増えている。痛みでパソコンを使えず、仕事に支障が出るなど、日常生活への影響は大きい。
50代後半のHさんは、5年以上もばね指に悩んできた。パソコンを極力使わないようにすれば痛みは軽減するが、使い始めるとぶり返す。整形外科は腰痛患者や膝痛患者でごった返しており、行く気がしない。だましだましやってきた。
しかし、とうとう痛みが我慢できない段階に。プロのピアニストも訪れる「さかい整形外科」(東京・江古田)を受診した。
日本最初の音楽家専門外来を設立した酒井直隆院長(写真)は、「手」治療のエキスパート。音楽家は腱鞘炎など手の疾患に悩まされることが多いが、音楽家への治療法は当時ガイドラインなどもなく、試行錯誤を経て、現在の治療法を確立した。
ばね指は、腱鞘炎のうち、炎症部分にひっかかりが生じるものを指す。
腱は手足の骨と骨の周りの筋肉をつなぐ組織で、腱鞘は、その文字に使われている「鞘」のように腱を包み込み、手足の関節をスムーズに曲げ伸ばしする役割を持っている。ここに炎症が起こるのが腱鞘炎だ。