手治療の専門家 ばね指・腱鞘炎は仕事しながらでも治せる
「腱鞘炎は鞘が細くなることが原因といわれてきましたが、加えて腱のむくみが大きな原因になることが最近明らかになりました」
■パソコンを使っても大丈夫
むくみは、手・指の使いすぎ、気圧の変化などが関係するとみられている。一般サラリーマンでは、どちらかというと前者の影響が強い。そのため、「パソコンを使わない。安静に」と医療機関で指示されがちだが、それでは仕事にならない。
「すぐに症状を取りたい患者さんには、注射を提案します。腱の中に直接、0.5㏄ほどの微量のステロイド薬と麻酔薬を注入し、むくみを取ります。コンサートを目前に控え、練習を休めないピアニストにも行っており、即効性が高い治療法です」
ただ、注射は的確な場所に打つことが必要で、そうでなければ「注射を打ってもらっても、期待したほど症状はよくならない」ということになってしまう。
また、早期対策が治りを早くするのは、ほかの疾患と同様だ。
「症状が出て1カ月くらいで治療を受ければ、1回から数回で症状は消失します。しかし、年単位で患っている場合は、関節が硬くなっているため、長い治療期間を要します。注射は最低限にして、抗炎症剤の服用、炎症部分を温めて血行をよくする温熱療法、硬くなった関節の屈伸運動の指導をします」