著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

肝臓がんは肝炎段階で治療すれば防げる

公開日: 更新日:

■血小板で進行予測

 で、なぜ予防が可能かというと、慢性肝炎から悪化した“成れの果て”の状態が肝硬変ですが、ほとんどの肝臓がんは肝硬変にできます。肝硬変に移行すると、血小板の数が低下するなどの変化があり、その数値をフォローすることで、肝臓がんの発症を予測できるのです。また、肝臓がんが大きくなると、腫瘍マーカーの「α―フェトプロテイン」が上がります。

 つまり、慢性肝炎の状態で治療すれば、肝臓がんへの進展を食い止めることができるのです。

 慢性肝炎を起こす原因は、8割が肝炎ウイルスで、残りの2割がアルコールと肥満。肝炎ウイルスはB型とC型がありますが、輸血用血液はどちらも除去されているため、新規の肝炎ウイルス感染者は激減。210万~280万と推計される感染者は40歳以上が9割。しかもB型はワクチンで予防でき、C型は感染しても駆除する治療法ができたため、肝臓がんによる死亡率はこの10年で半減しています。

 ただし、B型は母子感染するほか、セックスや入れ墨の器具の不正使用などでも感染するため、若い人の感染者が増加傾向にあるので要注意です。B型に感染すると、10%が慢性肝炎に進行するといわれています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ日枝久相談役に「超老害」批判…局内部の者が見てきた数々のエピソード

  2. 2

    フジテレビは株主総会に戦々恐々…宿敵ホリエモンら“くせ者”が日枝久氏ら経営陣に退陣要求も?

  3. 3

    フジ女子アナ“上納接待”疑惑「諸悪の根源」は天皇こと日枝久氏か…ホリエモンは「出てこい!」と訴え、OBも「膿を全部出すべき」

  4. 4

    フジ港浩一社長から消えなかったバブル臭…伊豆温泉不倫旅行に麻布十番デート、女子大生ブームの仕掛け人

  5. 5

    大谷の「お荷物」にならないか…間もなく第一子誕生&二刀流再開のところに“同郷の後輩”

  1. 6

    “上納接待”疑惑でフジテレビ大激震…女子アナたちの怒りと困惑「#MeToo運動」に発展か?

  2. 7

    八角理事長が明かした3大関のそれぞれの課題とは? 豊昇龍3敗目で今場所の綱とりほぼ絶望的

  3. 8

    死亡した元兵庫県議めぐる立花孝志氏の発言を県警本部長が完全否定&異例の言及…いよいよ“ガチ捜査”に突入か

  4. 9

    菊間千乃弁護士、堂々の「情報7days」出演にフジテレビへの忠誠心を感じたとする声が続々

  5. 10

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?