肝臓がんは肝炎段階で治療すれば防げる
■血小板で進行予測
で、なぜ予防が可能かというと、慢性肝炎から悪化した“成れの果て”の状態が肝硬変ですが、ほとんどの肝臓がんは肝硬変にできます。肝硬変に移行すると、血小板の数が低下するなどの変化があり、その数値をフォローすることで、肝臓がんの発症を予測できるのです。また、肝臓がんが大きくなると、腫瘍マーカーの「α―フェトプロテイン」が上がります。
つまり、慢性肝炎の状態で治療すれば、肝臓がんへの進展を食い止めることができるのです。
慢性肝炎を起こす原因は、8割が肝炎ウイルスで、残りの2割がアルコールと肥満。肝炎ウイルスはB型とC型がありますが、輸血用血液はどちらも除去されているため、新規の肝炎ウイルス感染者は激減。210万~280万と推計される感染者は40歳以上が9割。しかもB型はワクチンで予防でき、C型は感染しても駆除する治療法ができたため、肝臓がんによる死亡率はこの10年で半減しています。
ただし、B型は母子感染するほか、セックスや入れ墨の器具の不正使用などでも感染するため、若い人の感染者が増加傾向にあるので要注意です。B型に感染すると、10%が慢性肝炎に進行するといわれています。