客観的根拠なく診断困難…“エセうつ病”で注意すべきこと
■増強療法
よくならないうつ病には、適切な治療でも治らない難治例と、医師の腕に問題がある例がある。後者では「薬の処方が不適切」というケースが珍しくない。
「中等症以上のうつ病は、抗うつ薬が治療の第1選択で、『1種類の抗うつ薬を十分量かつ十分期間使用』が効果を発します。効き目が悪ければ、2剤、3剤と増やすのではなく、別の抗うつ薬に切り替えるか、抗うつ薬の効果を高める別の薬を少量併用する増強療法が行われます」
しかし、別の医療機関の治療で症状が改善しないと訴える患者には、3剤以上の多剤併用だったり、量が少なかったりするケースが少なくない。
「さらに、不安や不眠に効くベンゾジアゼピン系の抗不安薬の問題もある。長期服用は依存を招くため、処方は4週間を限度と定められている。しかし、それ以上処方されている患者さんもいます」
山田教授は「専門医の資格を取っていても、認知症や統合失調症など別の精神疾患を中心に診ており、うつ病をあまり診ていない医師もいる」と話す。「ちょっと違うかも」と感じたら、迷っていないで、別の精神科医を受診した方がいい。