常識覆す新リハビリ 失語症は「磁気」で言葉を取り戻せる

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■磁気刺激で話せる能力を改善

 当初は上肢のマヒを持つ患者で実績を挙げた。上肢のマヒは下肢と違って回復が難しいとされ、「発症後6カ月以上は回復しない」といった“常識”もあるが、それらを覆した形だ。そして最近力を入れているのが、失語症への磁気刺激だ。

 ほとんどの失語症は「左脳の損傷」で起こる。だから普通に考えれば、健康な側の右脳に低頻度磁気刺激を与えることになるが、安保教授の研究では、失語症の改善においては、患者によって左右どちらが適しているか異なると判明した。

「MRIで左右どちらの脳のどの部分が、失語症の改善に有用な役割をしているかを見極め、その部分の働きがよくなるように脳へ磁気刺激を与えます。この点が上肢の場合と異なります」

 最初は損傷側の左脳に低頻度磁気刺激を与え、リハビリが進むにつれ、健康な側の右脳への低頻度磁気刺激が適切になるケースも多々見られた。

「少しでも改善される人は、約8割です。話せる能力が改善すれば、再就職できる可能性が高くなります」

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