美容ジャーナリスト山崎多賀子さん 乳がん闘病記が自分の心のリハビリに

公開日: 更新日:

 私は、治療中でも体調がいい時は普段通りに外出すると決めていました。髪の毛だけでなく、まつげも眉毛もない“黒い顔”で外を歩けませんから、メークして、ウィッグを着けて仕事に行ったら、私ががんだと知らない知人が「最近、きれいになった?」と言ったんです。この時「よっしゃ!」と、心の中でガッツポーズしました。

 がん患者は死に対する不安がある中で、ある人は仕事を、ある人は人間関係を失うこともあります。治療費や生活費など金銭面での不安もあります。それらの原因の多くは、「がんになった」という、ただそれだけの事実です。私もがんを告知された時、鬼ごっこでタッチされて、大きな川の向こうにいきなり連れていかれた気がしました。やりがいも楽しみも奪われて、薄暗い場所で、一生、生活しなければいけない……と絶望感に見舞われたんです。でも、イキイキと生活する乳がんの先輩の話を聞いているうちに、「それは違うぞ。がん患者でも前向きに生きることができる!」と思い直しました。

 そのために必要だったのが、ウィッグでありメークです。当時の私は、それらを世間の目から自分を守る「鎧」のように感じました。何も装わずに丸腰で戦場(社会)に出ていくのは不安だけれど、鎧を着けていれば自分らしく堂々とできる。そんな気分です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末