美容ジャーナリスト山崎多賀子さん 乳がん闘病記が自分の心のリハビリに

公開日: 更新日:

 そんな時、入院中に知り合った“がん友達”が亡くなりました。そこで改めて「私の病気は死と直面するんだ」と思い知らされました。同時に、「あの時、治療しておけばよかったと思わないようによく考えてくださいね」という主治医の言葉を思い出しました。

「ならば、今できる治療をしよう」と気持ちを入れ替え、抗がん剤治療とホルモン療法、分子標的薬(がん細胞の性質を分子レベルでとらえて効率良く攻撃する)での治療を受けることにしました。

■ウィッグやメークは自分を守る「鎧」のようなもの

 もともと、「がん患者だからとコソコソしたくない」という思いがあり、周囲にがんを公表していたのですが、さらに女性誌で闘病記連載も始めました。治療法、必要なお金、ウィッグなど、私が知りたいことを専門家に聞きました。他にも私の日常もつづったのですが、取材をして書くことで考えが整理され、記事を発表することで誰かの役に立つのであればうれしい。何より自分の心のリハビリになりました。

 この連載は反響が大きく、私ががんの治療中でありながらも元気に日常生活を楽しんでいる様子を見て、「私も遊んでいいんだ」と号泣したという地方のがん患者さんもいらっしゃいました。がん患者は華やかなことをしてはいけないと思い込み、地味な服を着て、自宅と病院を往復するだけの日々だったという彼女は、「私も東京に遊びに行く!」と前向きになり、私の記事を病院のロビーに置くよう掛け合ってくれたといいます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…