糖尿病の下肢切断を回避 注目の「PRP療法」を詳しく知る
■痛みやつらさがない治療
PRP療法は、下肢切断の前、つまりトラフェルミン・陰圧閉鎖療法を行っても効果が見られない患者が対象。PRPとは患者の血液を遠心分離して得られた血漿で、その中に含まれる細胞増殖因子の働きを利用して潰瘍の治癒率を上げる。
前述の通り、トラフェルミンも細胞増殖因子の働きを利用している。しかし、含まれているのは1種類だけ。一方、PRPには複数の細胞増殖因子が含まれている。
PRPを作る井上肇幹細胞再生医学講座特任教授は言う。
「人によって細胞増殖因子の含有率、含有量は違います。PRPは患者自身の血液をもとにしており、その人に合った構成の細胞増殖因子が含まれているのです」
40~60ミリリットルの血液(献血の7~10分の1程度)を採取し、遠心分離機でPRPを作成。4回に分け、1週間に1度の外来で潰瘍部分に塗布する。1クール(週1×4回)で痛みが消えたり、皮膚の形成が見えてくるなど効果が表れれば、2クール目に進む。