糖尿病の下肢切断を回避 注目の「PRP療法」を詳しく知る
下肢切断しかない、いわば万策尽きた患者が対象だが、PRP療法を実施した22症例のうち、16症例が治癒。これはかなりの好成績だという。潰瘍の範囲が広ければ、健康な皮膚を小さく切り、潰瘍部分に適度に置く「ピンチグラフト」という治療と組み合わせる。
「ただし、PRPを塗れば治る魔法の治療と考えるのは間違い」と、治療を担当する菅谷文人主任医長は指摘する。
「皮膚潰瘍は糖尿病だけではなく、静脈うっ帯や膠原病などさまざまな原因が重なって起こる。これらの原因改善を併せて行わなければ不十分です」
「たばこをやめたくないが、切断は嫌」とPRP療法を求めるのは本末転倒。さらに「150平方センチ以上の広範囲の症例」など、いくつかの項目に該当する場合はPRP療法でも治癒が難しいと研究でわかっているため、治療を希望する前にチェックが必要だ。
「PRP療法の希望者には、皮膚潰瘍の治療がそもそも正しく行われていないケースも少なくありません。まず傷の専門家である形成外科を受診し、現在の治療が適切かを確認することを勧めます」(菅谷主任医長)