【間質性肺炎】東邦大学医療センター大森病院・呼吸器内科(東京都大田区)
「IPFは、呼吸機能が急激に悪化する『急性増悪』を発症しやすく、経過中に『肺がん』も合併(10~30%)しやすいので、5年生存率は平均30%と低い。ですから常にIPFを意識した鑑別をすることが大切です。その最終診断の精度を高めるには、精通した臨床医、放射線画像診断医、病理医による集学的検討が重要になります」
しかし、国内では同センターのような系統的な専門施設や定期的に集学的検討が行える施設がほとんどないのが現状。そのため、全国から紹介患者やセカンドオピニオンの患者が来院するという。
また、確実な診断が重要なのは、IPFとそれ以外の特発性間質性肺炎では治療法が違うということもある。IPF以外のタイプでは、主にステロイド薬や免疫抑制薬の内服を使って治療をする。
「IPFでは、唯一有効性が証明されているのは『抗線維化薬』で、現在2剤(内服)あります。効果には個人差がありますが、進行の抑制や生存率の改善が期待できます。ただし、食欲不振、下痢、肝機能障害、光線過敏症などの副作用があるので、細かく対策を取りながら治療を継続させていくことが大切になります」