“対象外”にも持続的効果 閉塞性動脈硬化症の新治療法とは

公開日: 更新日:

 こういった患者に対し、人工透析と同じような血液浄化療法「血漿吸着療法」が効果を上げている。体外に排出した血液を血漿分離器で血球成分と血漿成分に分離し、血漿のみを吸着器で吸着する。このうち、動脈硬化の一番の原因となるLDLコレステロール(以下LDL)を吸着除去したうえで、血液を体内に戻す治療法だ。

 ただ、保険適用になるのは、薬を使っても総コレステロール値が220(mg/dl)、またはLDL値が140以下にならない高コレステロール血症の人のみになる。しかし、ASOのリスクファクターはコレステロール値(脂質異常症)以外もあり、LDL値が正常の人も少なくない。

 田村医師は重症の閉塞性動脈硬化症患者の治療を担当する中で、血漿吸着療法には2つの作用があることを証明した。「動脈硬化への増悪作用が強い酸化型LDL(LDLが血管内壁で変化したもの)を長期的に減少」と「炎症系や凝固系の成分の改善」だ。これらの作用によって、障害が大きい血管内皮細胞を活性化させることを突き止めた。

「血漿吸着療法によるLDLの低下効果は短期間しか認めませんが、閉塞性動脈硬化症の改善効果はある程度持続します。つまり、LDL値が正常であっても血漿吸着療法で血管内皮細胞を活性化させれば、ASOが持続的に改善できるのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」