【早発閉経の不妊】卵巣に残る原始卵胞を活性化させる
「通常、卵巣には数十万個の未熟な原始卵胞が存在し、月経のたびに数百個が活性化して発育します。しかし、活性化は原始卵胞が残り1000個くらいになると停止します。卵胞活性化療法は、早発閉経の患者さんの卵巣にわずかに残っている原始卵胞を、体外で人為的に活性化させるのです」
■卵巣移植を実施した70人中3人が出産
具体的には、腹腔鏡手術で片側の卵巣または卵巣の一部を取り出し、原始卵胞を含む卵巣組織を特殊な薬を用いて2日間培養。それを再び腹腔鏡手術で卵管の近くに戻す。その後、ホルモン療法(内服)と排卵誘発剤の自己注射をし、成熟した卵子ができたら採卵を行い体外受精をする。卵胞活性化の効果は1~2年くらい持つという。
「原始卵胞が残っていれば、50~60%の患者さんで成熟した卵子がつくれます。ただし、妊娠率は患者さんの年齢によって大きく異なります。これまで活性化した卵胞を戻して1年くらい観察できた患者さんは70人で、うち妊娠したのは9人で分娩に成功したのは3人です」
これまで報告されてきたホルモン療法による原始卵胞の成熟率は年間0・3%なので、その差は歴然だ。