著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

0期なら100%治る「難治膵臓がん」は血液検査で早期発見

公開日: 更新日:

 血液検査でがんを早期発見――。そんなキャッチコピーを目にすることがありますが、検診レベルで実用化できるほど高精度のものはありませんでした。ところが、国立がん研究センターが行う膵臓がんについての臨床研究は大きな期待を持てます。

 今回の注目は、「apoA2」と呼ばれるタンパク質です。研究グループは膵臓がんや膵炎の患者、健康な人から提供を受けた約900の血液検体を調査。このタンパク質は、早期の膵臓がんで量が低下することを発見しています。

 米国立がん研究所(NCI)も同様の研究を行っていて、「apoA2は、膵臓がんを見つけるマーカー(尺度)として信頼性が高い」と評価。そのNCIとの検証では、ステージ1や2の人は、健康な人に比べてapoA2の量が半減するといいます。これらの研究から、がん研究センターは大規模臨床研究に踏み切ったのです。2019年3月までに最大1万人の被験者を募り、その有効性をより詳しく調べるといいます。

 膵臓がんによる死亡数は増加傾向で、昨年は3万3700人。肺がん大腸がん胃がんに次いで4番目。発症数(7位)に比べて亡くなる方が他のがんより多く、難治がんといわれるゆえんです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…