「おはよう」言えず 青木美保は発声障害から復帰に10年
復帰のOKが出たのはその翌年です。“もう歌わなくても生きていける”と考えるようになったことで、気が楽になったのでしょうか。以前のように楽に、発声することを意識せずに声が出せるようになったんです。
“たかが声が出ないくらい大したことない”と思う人もいるかもしれません。でも、どんな心身の機能でも失ってみないと、その苦しさは分かりません。ひとつ失うことで心が病んで、どんどん悪循環にはまっていく……。そんな経験をしたからこそ、「健康が一番」と思うようになりました。
ストレスをためないように「多少太ってもいいか」と思ったり、腹が立つ出来事があっても、いい方向に考えることにしました。たとえば「歌えない10年間があったけれど、その分、喉を使っていなかったから、私の声帯は10年若い。10年長く歌える」って。
何より今は、歌わせてもらえる場所があることがどれだけ幸せか、ということを噛みしめる毎日です。
▽あおき・みほ 1966年、熊本県生まれ。84年に「人生三昧」でデビューし、数々の音楽祭新人賞を受賞。その後も五木ひろし作曲の「夢一輪」、堀内孝雄作曲の「化粧」などがヒットする。2001年から活動を休止したが、11年に復帰。復帰第5弾となる新曲「花海棠」(麻こよみ作詞、岡千秋作曲)が発売中。