胃の不調を軽んじない “みぞおち痛”は命に関わる病気かも
■膵臓がん、肝臓がんが見つかったケースも
江田氏のクリニックには、Sさんのように「みぞおちが痛くて胃の検査を受けたが異常はない。胃薬を飲んでもよくならない」と訴えて他院から転院する患者がたくさんいるという。
胃カメラで異常が見つからなくても、腹部のエコー検査やCT検査を行うと、膵炎、胆のう炎、胆管炎といった病気だけでなく、膵臓がん、胆のうがん、胆管がん、肝臓がんなどの命に関わる病気が隠れているケースも少なくない。
「みぞおちの部分には、いくつもの臓器が入り組んで重なり合っています。みぞおち付近の皮膚のすぐ下には肝臓があり、その裏が胃と十二指腸です。胃の裏側には膵臓、胃の右側には胆のうや胆管があります。これらの臓器の疾患による痛みは、みぞおちの痛みとして表れるケースが多いのです。胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんといった胃の病気でもみぞおちに痛みが表れますが、100%が胃の痛みというわけではないので注意が必要です」
他院で胃潰瘍の疑いがあると診断された男性が薬を飲んでもみぞおちの痛みが改善されないことで来院。エコー検査を行ったところ、肝臓に8センチ大のがんが見つかったケースもある。