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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

ビタミンCを取ると「風邪が1日早く治る」は本当か?

公開日: 更新日:

 ビタミンB1について取り上げてきましたが、今回からはビタミンCです。ビタミンCの欠乏は、「壊血病」といって、貧血を来し、粘膜に異常が表れ、傷の治りが悪くなり、感染症にかかりやすくなるという状態を招きます。この壊血病は、新鮮な野菜や果物の摂取ができなくなる大航海時代の長期航海中の船員に蔓延し、「かんきつ類が有効らしい」ということから、レモン汁の摂取によって克服されました。ビタミンB1によるかっけの克服と似たような歴史があります。

 そんなビタミンCですが、現在では欠乏症はほとんどなく、私自身、実際の患者を診たことはありません。現在のビタミンCの話題は大量摂取にどんな効果があるかというのが大部分です。そんな中、「風邪にビタミンCが効果的」という説があります。それについてのランダム化比較試験のメタ分析の結果についてご紹介しましょう。

 小児から成人に至る幅広い風邪患者が、200~8000ミリグラム/日のビタミンCを摂取すると、風邪の持続日数が10%弱短くなるという結果です。

 10%弱短くなるというのは、5日で治るところが、ビタミンCを摂取すると4・5日で治るという感じです。

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