骨を丈夫にするだけじゃない ビタミンDの驚くべき実力
「ビタミンDはカルシウムの吸収を助けて強い骨を作る。必要なのは骨折が心配な閉経後の女性や高齢者で、働き盛りには関係ない」――。いまだにそう思い込んでいる人も多いのではないか。しかし、長年の研究で結核やインフルエンザ、がんや認知症など多くの病気に関わっていることがわかってきた。
春の日本小児科学会で「ビタミンDを継続的に取ると、肺炎やインフルエンザなどの急性呼吸器疾患の発症を減らせる」との国際研究が報告された。その発表者で研究をリードした東京慈恵会医科大学分子疫学研究部の浦島充佳教授が言う。
「研究のきっかけは国内の小・中学生を対象とした二重盲検試験です。ビタミンDは食事でも取れますが、9割は日光の力を借りて体内で作ります。日照時間が短い冬はその体内量が夏の半分に減る。それはインフルエンザなど上気道の感染症の流行期と重なります。そこでビタミンDとインフルエンザの関係を知るため、ビタミンDのサプリメントを取る群と偽薬群に分けてインフルエンザの発症状況を調べたのです」
結果、ビタミンD群では167人中18人(10.8%)がA型インフルエンザを発症したのに対して、偽薬群は31人(18.6%)。予想通りだった。