卵巣がん<1>「治療後の空虚感はがん患者に共通した苦悩でしょうか」

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■今は仕事が支え

 700万円に近い年収を得ていた優良監査法人を退職し、手術など治療に専念すること約1年。その後、2年間、「人生を楽しみたい」とドイツなど、海外旅行を満喫した。   

 2年前の16年には、「社会参加のために、ビジネスに挑戦」と勇躍、「リンパレッツ」(東京・八重洲)という会社を立ち上げる。

 ドイツ旅行時に出合った、医療用ストッキング(特にリンパ浮腫用)に魅せられ、輸入業者の協力を得て、日本でも小売り販売を開始した。

 ビジネスはゆっくりと滑りだしたが、頭から「がん再発」の不安は消えることがない。しかし、昨年、ようやくがん治療の目安となる「5年生存」を乗り越えた。

 がん告知、会社退職、入院治療、治療費の捻出。抗がん剤の副作用では頭髪があらかた抜け落ち、それを隠すために、新たに買いそろえた帽子も10個を数えた。そして、自立を目指した会社の設立……。

「実を申しますと、がん治療が終わった後がつらかったですね。私は幸い治療後の経過が順調でしたので、日常の生活に向かう中、家族の期待にも応えたい、元通りの生活をしたいなどの思いがありました。しかし、十分な健康体ではありません。そこに孤立と孤独感が生まれます。今、私を支えているのは仕事ですが、何とも表現できないがん治療後の空虚感は、がん患者に共通した苦悩でしょうか」

 そう前置きし、大塚さんは6年間に及ぶ苦汁の体験を語り始めた。

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