卵巣がん<1>「治療後の空虚感はがん患者に共通した苦悩でしょうか」
2012年7月、埼玉県さいたま市に住む大塚美絵子さん(当時51歳)は、3つの病院を回り、最後に「卵巣がんステージⅢC」と確定診断された。
年間、10万人当たり14.3人(国立がん研究センター)といわれる「卵巣がん」の患者数は、40歳代から増加し、60代前半でピークを迎える。
子宮の両脇にある楕円形の形をした卵巣は、女性らしい体をつくり、その維持を促す女性ホルモンが分泌される臓器だ。閉経まで成熟した卵子を放出する卵巣に発症する悪性の腫瘍が「卵巣がん」である。
妊娠や出産の経験がない場合などが発症の要因ではないかとする研究論文があるが、まだハッキリしない。
病期は、Ⅰ~Ⅳの4段階に分類され、大塚さんの場合は末期に近い「ステージⅢC」。リンパ節にも転移していたが、腹腔内にがんが飛び散り、広範囲に腹膜播種(卵巣がんによく見られる転移の一種)を起こしていた。
「5年生存率は、30%前後。手術などで治療に成功しても、再発の確率は医学の統計で2人に1人。告知を受けた年、私の友人に担当医が『残念ながら大塚さんに来年という年がないかもしれません』と言っていたそうです」