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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

孤独<4>「社会脳」の発達障害で「孤独脳」が完成する

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 同じような状況に置かれても、強い孤独を感じる人もいれば、あまり感じない人もいます。単純に性格や慣れの違いとは言い切れず、幼少期の環境なども関わっているらしいと以前からいわれていました。さらに最近、医学的研究も進んできた結果、脳の構造の違いが「孤独」と関係していることが分かり始めてきています。

 数年前にイギリスで発表された研究によれば、孤独感の強い人の脳では、とくに社会性をつかさどる領域を形成する神経細胞が、孤独でない人と比べて少なめであることが示されました(CurrentBiology/2012年)。脳のレベルで人付き合いが苦手だから、孤独に陥っているというわけです。

 日本でも同様の研究が発表されています。平均年齢が20歳の男女約800人を対象に、孤独感の強さと大脳皮質の神経密度を調べた結果、他人との共感や自分に対する信頼感をつかさどる領域の密度が薄い人ほど、孤独を感じやすい傾向があることが明らかになりました(ScientificReports/15年)。

 ただこれらの研究からは、大脳の構造変化が孤独を招くのか、孤独が構造変化をもたらすのか分かりません。この疑問には、マウスを使った多くの研究(BrainBehaviorandImmunity/17年など)が参考になります。

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