荒井daze善正さん語る EBウイルスの恐怖とドナーへの感謝
通院しながら雪山に行くのですが、スノーボードの腕はどんどん落ちていくばかり……。見かねた彼女がセカンドオピニオンを提案してくれて、向かったのが国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)でした。そこで病名が確定したんです。
「病名が確定したからもう治る」と思いきや、本番はそこからでした。EBウイルスは、成人の約90%が感染していて、本来なら免疫力で抑えられるはずのもの。でも、それが異常繁殖して臓器不全を起こしてしまうのが、慢性活動性EBウイルス感染症です。当時、世界で約2000例しかないといわれていて、5年生存率はかなり低く、唯一の治療法は骨髄移植。しかも、移植できたとしても生存率は30%程度だといいます。白血病のケースで50%とのことでしたから、一気に先が真っ暗になりました。自暴自棄になって1週間ほどへこみましたが、彼女の言葉に背中を押されて、移植を決意したんです。
■やっと見つかった骨髄移植のドナーに救われた
でも、がんセンターから前の病院に戻されると、「移植は最後の手段」と言われました。らちが明かないと思い、インターネットでこの病気に詳しい医師を探してみました。すると、東京医科歯科大学の教授が書いた論文を見つけることができました。まだほとんど知られていない「慢性活動性EBウイルス感染症」の研究を、少人数の仲間で独自に進めている先生でした。無謀にも大学に電話をかけてみると運良く先生につながり、「すぐに来なさい」と言われ、移植の話がどんどん進んでいきました。