INSPi奥村伸二さん 有棘細胞がんで鼻の半分を失い再建まで

公開日: 更新日:

 一度は風船の圧が強過ぎ、皮膚が壊死しかけて急きょ水を抜くというアクシデントもありましたが、本当につらかったのは、その後の再建手術でした。

 十分にのばした額の肉を逆三角形に切って鼻にするのですが、その肉が鼻として定着するまで血流をキープするために、額の太い血管を剥がしてつなげたわけです。見た目にもひどい状態でしたが、一番ダメージを受けたのは精神でした。もちろん、全身麻酔で手術中の記憶はありません。でも体が恐怖を覚えてしまったのか、手術翌日から震えが止まらなくなったんです。尋常ではなかったので手足を拘束されてしまい、それがさらに恐怖を増幅させて、最終的には奇声を上げて“発狂”していました。

 でも面白いのは、「俺は今、発狂している」という自覚があったことと、「こんな高い音域まで声が出るんだな」と冷静に考えていたことです。結局、精神安定剤を処方されて、スッと落ち着いたんですけどね。

 その後、つないでいた額の血管を切り離し、鼻の形を少し整える手術をしましてこの夏、ステージに完全復活となりました。実はこれで終わりではなく、あえて肉厚に作ってある鼻を薄くし、耳の軟骨を取って小鼻の形を作るという手術が残っているのですが、手術への恐怖心が抜けないので保留中なんです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…