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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

輪島さんは手術で声失う…咽頭がんの早期発見は胃カメラで

公開日: 更新日:

 病魔を寄り切ることはできませんでした。大横綱・輪島大士さんの命を奪ったのは咽頭がんで、死因はがんによる衰弱だったそうです。享年70。この間の報道で、盟友北の湖さんとのエピソードについて、こんなことが書かれていました。

「ちょっとくらい土俵外で盛り上げたら面白いだろうとしゃべったら、大変なことになった。でも、それが相撲人気につながった」

 サービス精神旺盛な性格がうかがえます。手術による後遺症で発声ができず、筆談を余儀なくされたことは、ショックだったでしょう。

 2018年の咽頭がんの死亡数予測は、口腔がんと合わせて7900人。7万人超の肺がんや5万人を超える大腸がんなどと比べるとまれですが、病状によっては生活の質が大きく損なわれます。予防が大切です。

 咽頭は、鼻の奥から食道の入り口までで、上から順に「上」「中」「下」に分かれます。この部分はたばことお酒の影響を受けやすく、重なるとリスクは相乗的に増えるのです。

 たとえば、たばこを吸う男性は、吸わない人に比べて咽頭がんの罹患リスクが2.4倍。1日の喫煙箱数と年数をかけて算出する累積喫煙指数が60以上だと、4.3倍です。部位別では、下咽頭への影響が強く、喫煙グループで13倍、累積喫煙指数60以上で21倍と報告されています。

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