急性心筋梗塞は効果的な治療法が広まり救命率が上がった
たとえば、急性心筋梗塞の2次予防は、近年になって急速に進歩しています。この病気は、心臓に栄養と酸素を補給している冠動脈が急に詰まり、血流が滞って心臓の一部の筋肉が壊死するもので、突然死を招く危険もあります。日本では年間約10万人が発症し、そのうち3万~4万人が亡くなっています。
いまから30年前は、急性心筋梗塞を発症すると入院しても20~30%が死亡していましたが、近年は入院すれば死亡率は5%以下に低下しています。地域によっては2%近くまで下がっていて、救命率が格段に上がっているのです。
救命率がアップした大きな要因は、施設の拡充とデータに基づいた効果的な治療法が広まってきたことが挙げられます。
かつて、心筋梗塞は発症してもヘタに手を出してはいけないといわれていました。人間の体には、血管が詰まっても、それを補うように別の血流路が発達するシステムが備わっていて、サポートするための新たな血流路は「側副血行路」と呼ばれています。そのため、心筋梗塞の患者に対しても介入はせず、自然の成り行きに任せて側副血行路が発達するのを待っていたのです。